久しぶりにすさまじいホラー作品を視た。しかも単なるB級と期待していたら、低予算で高品質なB級だった。これは視ておいたほうがいい。「イット・フォローズ」。


         
          
              
              
                  イット・フォローズ [DVD]
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  • 内容紹介 “それ"は ずっとずっと 憑いてくる ★"それ"はずっとずっと憑いてくる。 あまりの恐さと面白さから話題が話題を呼び全米ではわずか4館から急遽1600館の拡大公開となり、ボックスオフィスTOP10に3週にわたりランクイン! 辛口批評家サイト「Rotten Tomatoes」では驚異の96%フレッシュをキープし続け、各メディア・評論家からも大絶賛! ホラー映画としては異例ともいえるほど映画祭で受賞&ノミネートを繰り返した必見の話題作。 あのクエンティン・タランティーノ監督も「とにかく恐い! こんな設定のホラーは観たことがない! 」と太鼓判を押した、 "超・新感覚"の恐怖体験が、ついに日本でも憑いてくる! ★主人公ジェイを演じるはアダム・ウィンガード監督作「ザ・ゲスト」の好演が記憶に新しいマイカ・モンロー。 「フィフス・ウェイブ」「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」といった大作も控える注目株だ。 監督のデヴィッド・ロバート・ミッチェルはティーンのキャラクターがもつ独特の空気感と、 自らが影響を受けた80年代ホラー映画へのオマージュを織り交ぜ、全く新しい青春ホラームービーを生み出した! [内容解説] 19歳のジェイは男と一夜をともにするが、その後、男が豹変。縛り付けられたジェイは「“それ"に殺される前に誰かにうつせ」と命令される。 “それ"は人にうつすことができる。 “それ"はうつされた者にしか見えない。 “それ"はゆっくりと歩いて近づいてくる。 “それ"はうつした相手が死んだら自分に戻ってくる。 そして、“それ"に捕まったら必ず死が待っている。 果たしてジェイは、いつ、どこで現れるかわからない“それ"の恐怖から逃げきることが出来るのか―。 [特殊内容/特典] 新世代の傑作ホラーの魅力に迫る音声解説他豪華ボーナスコンテンツを収録! 【初回特典】 ※初回特典は数量限定により、在庫がなくなり次第終了となります 特製スリーヴケース 【特典映像】 ●映画批評家スコット・ワインバーグとゲストたちによる音声解説 ●ディザスターピース(音楽)インタビュー ●日本版・海外版トレーラー ●ポスターアートギャラリー [スタッフキャスト] 【CAST】 ジェイ:マイカ・モンロー「ザ・ゲスト」「フィフス・ウェイブ」「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」 ポール:キーア・ギルクリスト グレッグ:ダニエル・ゾヴァット ヒュー:ジェイク・ウィアリー ヤラ:オリヴィア・ルッカルディ ケリー:リリー・セーペ 【STAFF】 監督・脚本:デヴィッド・ロバート・ミッチェル「アメリカン・スリープオーバー」 プロデューサー:レベッカ・グリーン ローラ D・スミス デヴィッド・カプラン エリック・ロメスモ 撮影:マイケル・ジオラキス 編集:ジュリオ C・ペレッツ4世 音楽:ディザスターピース 美術:マイケル T・ペリー [発売元]ポニーキャニオン (C)2014 It Will Follow. Inc, 内容(「キネマ旬報社」データベースより) マイカ・モンロー主演による青春ホラー。ジェイは好意を寄せるヒューから“それ”をうつされ、その日以降、ほかの人には見えないはずのモノが見え始める。捕まると確実に死が待ち受ける“それ”は、時と場所を選ばずに姿を変えて襲って来て…。 商品の説明をすべて表示する
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あらすじとしては、ティーンエイジャーの娘がある日カラダを許した男からなぞの存在「それ」に死ぬまでつけまわされる呪いを伝染され、死ぬほどこわい思いをする、という話。

肉体関係で呪いが継承されるというと下世話なものを想像してしまう。ぼくもそれが不安で彼女と視れなかったのだがご心配なく。全体的には根底はティーン男女の鮮烈で甘酸っぱくて絶望的な恋愛劇になってる。

さてさて、この映画の最大のポイントは「絵の撮り方への細かいこだわり」だろう。ひとつには長回しでカメラをゆっくりとパノラマのように視点移動し、状景を観客の頭にしっかり叩き込む。開幕1分で使われるこの手法は「それ」のおとずれに警鐘を鳴らす独特の恐怖演出として頻出する。

もうひとつは消失点を真ん中に持ってきたシンメトリー風景の多用。これもまた消失点に「それ」を置く演出だが、ラストでは別の意匠をオーバーラップさせることで「ありがちなのにありがちじゃないエンドレスホラーの描写」に成功している。

さて、映画の二番目のポイントは人間関係の描写に注意深く力点を置いていること。主人公側のキャラクターは、基本的に最初の居間のシーンで勢ぞろいする。相互の淡い恋愛感情はここですべて無言のうちに説明される。手際がいい。なおかつ、主人公が後半山場で対決する「それ」の姿も、このシーンにおけるとある欠乏で示唆されているのだ。

そして、全編に漂う独特の魅力が「言いようのない悪夢感」だろう。「それ」がいわゆる不定形の「シェイプシフター」であること、自分にしか見えない理不尽はもちろんだが、建物や自家用車・家電が70年代を思わせるように古く、いっぽうで最新の電子書籍端末が使われている不条理。なぜか入ってはいけない金網に閉ざされた街。悪夢にうなされているときのあの不安感が上品に表現されている。

とにかくこれらの視覚面と物語法だけでも視る価値がある一本だ。俳優陣が無名なのにもかかわらず、主人公の濡れ場を含めた(!)演技の等身大さ、まわりの仲間たちのティーンエイジャーらしい青臭い立ち回り。これも評価しておくべきだろう。

監督のデヴィッド・ロバート・ミッチェルは前作の「アメリカン・スリープ・オーバー」でもティーンエイジャーのドラマを描いたそうで、それをホラーに転調させてもこれほどの作品ができるとは、才能の確かさを如実に表している。できれば今後もホラー、あるいはサスペンス路線でそのメガホンをふるってほしいものだ。